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長寿分子NAD+の天然ブースター「RejuveNAD」

・パーソナルケア市場におけるNAD+の実情
NAD+はNicotinamide adenine dinucleotideの略で、NAD+の前駆体であるNMNは健康やwellbeingトレンドの関係で健康食品にて非常に注目を集めるようになりました。 NAD+のグローバル市場は2022年に5億3千万USDとされ、COVID-19によってNAD+市場が急速に拡大したと考えられており、今後十年間で12.41%の成長率が見込まれています。化粧品においてもこのトレンドの波に乗ろうという動きがみられるようになりました。

・NAD+とは
NAD+は長寿分子とされ、体内に存在することが発見された酵素です。細胞のエネルギーでもあるATPの産生において極めて重要な役割を担っているとされており、細胞内の数百の酵素反応に利用されています。また、DNA修復やエピジェネティクス変化にもかかわる酵素にとってもNAD+は必須と考えられています。長寿酵素Sirtuin(サーチュイン)の補助因子でもあるとされています。

・NAD+と老化
NAD+が絡むすべての反応が老化過程の基本にもなっています。 NAD+は魚や牛乳などに由来するNAD+前駆体であるナイアシン(ビタミンB3)やトリプトファンから体内で製造されます。しかし、利用されるNAD+の多くはリサイクルされたものとされ、NAD+自体は老化とともに著しく減少します。酵母やマウスなどでの様々な研究からNAD+レベルの減少と老化の加速には強い関係があることがわかっています。(代謝の減少、炎症老化、老化細胞、ゲノムの不安定性はライフスパンを短くし、パーキンソン病やアルツハイマー病を含む様々な退行性の病気の要因となります。) 高レベルのNAD+が肌にとっても必要です。UVストレスやその他のネガティブな環境的インパクトが細胞機能不全や細胞老化につながるためDNA修復が重要となってきます。NAD+はシワの形成やコラーゲンの減少につながる炎症老化や老化プロセスを防ぎます。しかしながら、NAD+は不安定で細胞膜を通過しない分子であるため化粧品の処方にNAD+を添加することができません。 NAD+の合成における律速過程にはNAMPT(Nicotinamide Phosphoribosyltransferase)がかかわっており(ニコチンアミドからNMNへの変換に関与。その後NMNからNAD+へ変換される。)

・NAD+は体内でリサイクル可能
このNAMPTはNAD+が消費された後のリサイクルもおこないます。このNAMPTも老化とともに減少して老化を加速させることがわかっています。肌にNAD+やNAD+の前駆体を追加で補充する必要はなく、NAD+の自然な産生は主要な酵素であるNAMPTの活性化によって刺激可能と考えられます。 そこで、Mibelle社はオーガニックヒマワリ芽エキスがこのNAMPTを活性化することを発見し、「RejuveNAD」を開発しました。

・RejuveNADの主成分「ヒマワリ芽エキス」
「RejuveNAD」はオーガニックヒマワリの芽から抽出されたエキスです。ヒマワリの芽は必須脂肪酸、ビタミンやミネラル、代謝産物などの栄養素を高含有しており、スーパーフードとして考えられています。Mibelle社では土を使わずにIndoor farming(インドア栽培)によってヒマワリ芽を栽培しており、これによって季節や環境汚染、農薬、菌汚染の影響を受ける心配がなく、水の使用も削減できる上にサステナブルな栽培が可能となっています。



・作用メカニズム
RejuveNADはNAD+の合成における律速過程であるNAMPT(Nicotinamide Phosphoribosyltransferase)を活性化します。NAMPTはニコチンアミドからNMNへの変換に関与しており、その後NMNからNAD+へ変換されます。このNAMPTはNAD+が消費された後のリサイクルもおこないます。 追加の NAD+ または前駆体を肌へ補う必要性はなく、主要な酵素である NAMPT の活性化によってNAD+ の自然な産生を刺激することが可能です。


 

・効能効果 
1. NAMPTがNAD+形成のための主要酵素であることの確認

細胞:ヒト表皮ケラチノサイト  
試料:1μM FK866(NAMPT阻害剤)  
試験デザイン:細胞を24時間処理  
パラメーター:細胞のNAD+レベル  

結果:NAMPTを阻害した場合にNAD+レベルが減少→NAMPTはNAD+の形成に必要な酵素である。


2.RejuveNADによるNAMPT発現の向上  

細胞:ヒト真皮線維芽細胞  
試料:1%ヒマワリ芽エキス  
試験デザイン:細胞を48時間処理  
パラメーター:NAMPTの遺伝子発現  

結果:ヒマワリ芽エキスはNAMPTの遺伝子発現を最大111%向上させた。ヒマワリ芽エキスはNAD+レベルを向上させる可能性があることが確認できた。

3. DNAダメージによる老化の誘導  

細胞:ヒト表皮ケラチノサイト 
試料:1%ヒマワリ芽エキス  
ストレス:チミジンアナログであるBrdU(5-bromodeoxyuridine)をDNA内に組み込んでDNAダメージを誘導  
試験デザイン:ヒマワリ芽エキスありとなしの状態でBrdUで24時間または48時間細胞を処理  
パラメーター:細胞のNAD+レベル、DNAダメージ(48時間後のγH2AXの免疫蛍光分析)、エピジェネティクス変化と老化(48時間後のH3K9me3の免疫蛍光分析)、細胞バイアビリティー(48時間後の免疫蛍光分析)

 
結果:ストレスはNAD+の減少につながる。ヒマワリ芽エキスを与えたストレス負荷細胞ではNAD+レベルの上昇が見られた。したがってヒマワリ芽エキスは老化条件下でも肌細胞内のNAD+レベルを向上させることがわかった。 ヒマワリ芽エキスはγH2AXレベルを下げ、老化によるDNAダメージを抑制してDNA修復を向上させることが確認できた。また、ヒマワリ芽エキスは老化によるH3K9me3レベルの上昇も抑制し、エピジェネティクス変化やそれによる老化を抑制することもわかった。さらに、コントロールと比べて細胞数も増やし、老化への進行を止めることもわかった。

クリニカルスタディ

 1.光老化条件下でのRejuveNADによる細胞の再生」  

処理:試料の単回添加前にUV-A照射(6 J/cm2)  
試料:2% RejuveNAD配合クリームとプラセボ  
パラメーター:ミトコンドリアタンパクのカルボニル化(immunoblott)、Sirtuin 1(サーチュイン1)レベル(免疫蛍光アッセイ)、コラーゲン XVII(免疫蛍光)、コラーゲン密度(XPolar技術)  

 

 結果:RejuveNADはミトコンドリア機能不全を著しく抑制してミトコンドリアタンパクのリサイクルを向上させる。→RejuveNADはUV-A暴露下でもエネルギー供給を確保させる。  RejuveNADはサーチュイン1レベルを向上させてミトコンドリア機能をサポートし、細胞の代謝やDNA修復のような過程やミトコンドリア機能を最適化させる。 RejuveNADはコラーゲン17レベル(ケラチノサイト内のコラーゲンで、表皮を真皮につなげる)を向上させ、表皮-真皮接合部を改善して生き生きした肌へ導く。     UV-Aはコラーゲン密度を減少させるが、RejuveNADはコラーゲン密度を著しく向上させた。

2.シミ(Age Spot)の改善 

被験者:45-65歳の22名の女性  
試料:2% RejuveNAD配合クリームとプラセボ  
使用:半顔、1日2回、28日間  パラメーター:シミ(dark spot)の評価(Bio3Dスキャナー、multi-sensor prismカメラ)  

結果:RejuveNADはシミの形成を抑制し、タンパク質リサイクルプロセスを改善した。

3.肌再生(Rejuvenation)

被験者:52-65歳の22名の女性  
試料:2% RejuveNAD配合クリームとプラセボ  
使用:半顔、1日2回、42日間  
パラメーター:滑らかさ(Smoothness;Primos 3D)と顔のリフティング(Visia-CR)の評価、Visual representation、目尻のシワ(Profilometry、Primos 3D)、30-65歳の300人以上の女性におけるデータによる「Younger Skin effect(肌をより若返らせる効果)

結果:
・リフティング効果:プラセボと比べて1.5%以上目尻から顎までの縦の長さを減少させ、リフティング効果を持つことが確認できた。     
・視覚的老化サイン(目尻のシワ、鼻唇、ほうれい線、赤み):RejuveNADは顔の再形成を誘導。視覚的かつ効果的に肌を再生することが確認できた。
・28日後において著しく肌を滑らかにし、42日後ではさらに滑らかさが向上した。     
・目尻のシワを著しく改善し、6週間で平均8.2歳若返らせた。

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cosme@holstein.co.jp

 

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エイチ・ホルスタイン株式会社 

ドイツのハンブルク市に本社をおき、主にドイツ ・スイスからヘルスケア分野 (医薬品 ・化粧品 ・健康食品) の新製品を日本企業に紹介し、その原料の輸入販売や、医薬分野のライセンス活動や薬事対応を支援するコンサルティングを行なっております。また、医薬品 (医療用および一般用) については、原薬 ・半製品の国内製薬会社による輸入のサポート業務も行っています。

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