はじめに
化粧品は主に水溶性成分、油溶性成分、増粘材、防腐剤、界面活性剤で構成されています。その中で界面活性剤は水層と油層をつなぎ止めるのに重要な役割があり、すべての化粧品に欠かせない成分です。
一見界面活性剤とされていない成分にも界面活性効果があります。例えば、レシチン、シリコン、アクリル酸系ポリマーなどには親油基があり、油性成分を抱きかかえることで界面活性剤として機能しています。
界面活性剤の肌への影響
化粧品の経時的安定性(製品保管中に分離が起きない)ということは化粧品の品質管理項目として重要なファクターであり、安定的に油層を保持する機能を高めるということは界面活性効果の高い成分を配合する必要があります。一方で、界面活性剤の効果は化粧品中のみならず、人の肌の上でも油を包む機能を発揮するため、油を離したあとの遊離界面活性剤は肌にとってネガティブな影響を及ぼします。設計上いくら有効性の高い高価な原料を配合したとしても、界面活性剤がその効果を打ち消してしまったら元も子もないですよね。
例えば、実験的に代表的な界面活性剤の一つラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を肌に塗布した場合、以下の図の様な連鎖的な反応によって炎症が引き起こされると言われています。
実際にヒトの培養細胞にSLSを添加して培養液中の炎症性物質の量を測定すると、濃度が多くなるにつれて、炎症性物質の量が増えることがわかります。
化粧品と刺激は切り離せない存在です。万人に対して刺激を示さない化粧品を作る事は不可能といっても過言ではありません。しかしながら、この刺激が化粧品製造において最も多い悩みの一つでもあります。
消費者にとって低刺激の化粧品への関心は年々強くなり、敏感肌向け化粧品のニーズが高くなっています。界面活性剤や防腐剤には、刺激が強い原料が多く知られており、これらを過剰に配合した化粧品は、皮膚に対し重篤な症状を引き起こす事が報告されています。
一方最近では、上記のような強い刺激とは別に、使用者が塗布直後にピリピリした刺激を感じる、スティンギングといわれる刺激にも注目が集まっています。スティンギングは、紅斑を伴わない刺激ですが、肌から吸収された物質が皮膚細胞に伝達物質を放出させ、刺激を感じさせる現象です。
私たちは化粧品中の界面活性剤などによる、刺激がどの様なメカニズムで発生しているかを検証し、化粧品由来の刺激を緩和させる原料の探索を行いました。その結果、ローヤルゼリーに含まれるタンパク質の加水分解物に高い皮膚刺激緩和作用が認められ、斬新な化粧品原料『ロイヤルビオサイト』を開発するに至りました。
ロイヤルゼリーの力
ロイヤルゼリーは羽化したての若いミツバチや女王蜂のみの餌で、たんぱく質が多いほか、果糖やブドウ糖、脂肪、ビタミン、ミネラルなどが広く含まれます。女王蜂は唯一産卵能力を持つことで、社会性を持った蜂の集団においては中心的な役割を担っています。この女王蜂や子供の蜂がローヤルゼリーを食べるのは、栄養価の高い餌を摂取し、外敵や病気から身を守るといった意味があります。そこで私たちはロイヤルゼリー中には細胞を保護する成分が含まれると考えました。
ロイヤルビオサイトの効果
- 界面活性剤に対する刺激緩和作用
先ほどの界面活性剤による刺激誘発モデル細胞に対してロイヤルビオサイトを添加すると有意に炎症メディエーターの一つIL-1αの産生を抑制することがわかりました。
- スティンギング抑制効果
ロイヤルビオサイトはアンモニア水にて引き起こした皮膚刺激に対して抑制効果を示しました。
表示名称、サンプルの依頼は原料ページで。