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3分でわかる薬事広告講座ー薬事法広告研究所 

【第2回】化粧品における“肌状態を示すワード”について

今回は、化粧品における“肌状態を示すワード”について整理をしてみたいと思います。

化粧品を販売しようと思うと、どうしても訴求したくなるのが、「シミ」
「シワ」「くすみ」「たるみ」ではないでしょうか。
では、これらの言葉は、果たして問題なく使用できるものなのでしょうか。

ひとつのキャッチコピーを例に考えてみましょう。

「 シミ・シワ・たるみ・くすみが気になる肌に! 」

いかがでしょうか。
このキャッチコピーは使用できるのでしょうか。

それぞれのワードで見ていきたいと思います。

『シミ』
化粧品で「シミ」を表現するには、物理的遮断、もしくはUV防止剤等を含有していることを前提に「日やけによる」のしばり表現が必要です。
つまり、UVカット効果のある日焼け止めで、「日焼けによるシミを防ぐ」と標榜することは可能ということです。
尚「日焼けによるシミを防ぐ」の言葉の内、「日焼けによる」は“しばり表現”といい省略は認められていません。且つ、「シミ」だけの単独使用はできません。
また、できてしまったシミに対する効果(シミを消す)等も 認められません。
ただし、メーキャップにより「シミを目立たなくする」のであれば可能です。

『たるみ』
化粧品に認められた56の効能効果の中に、「お肌を引き締める」という効果がありますが、これを拡大解釈することは不可となります。
化粧品で標榜可能な「お肌を引き締める」は、 リフトアップなど部分的な肌改善効果は認められていません。あくまで、肌全体の収れん作用を指します。
つまり「たるみ」を想起させるような標榜は過剰であり、化粧品ではNGとなります。可能なのはメーキャップによる「たるみを目立たなくする」のみです。

『くすみ 』
日本化粧品工業連合会 「化粧品等の適正広告ガイドライン 2012年版」には、次のように書かれております。

「くすみ」に関する表現は、メーキャップ効果に関すること以外で「くすみ」という言葉を使用する場合には、くすみの定義を明確にし、化粧品等の効能効果の範囲を逸脱しないこと。

“化粧品等の効能効果の範囲”ということを基本に考えると、「(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。」 という効能効果がもっともふさわしく、 洗顔料のように汚れを落とす目的の商品に対しては、くすみを『古い角質を含む汚れ』と定義することで 使用が可能という解釈になります。
では、化粧水や美容液といった、与える目的の基礎化粧品では、「くすみ」への言及はできるのでしょうか。
最近では、保湿を目的とする化粧品に対して、「くすみ」を「※乾燥による肌印象」などの定義づけをすることで使用している広告を見かけるようになりました。
確かに、うるおいが不足しキメが乱れることにより、肌はどんよりくすんだ印象に見えます。このようなやり方については、あくまで保湿の範囲であるならば、現実的には可能と考えてよいであろうと思います。
しかし、あくまで「印象」であり、肌の色そのものが明るくなるかのような標榜は不可となりますので、注意が必要です。
そしてもう一つ、事実である事を前提にメーキャップによって「くすみをカバーする」という表現も可能です。

『シワ 』
深く刻まれた「シワ」については、基礎化粧品では一切使用できません。 可能なのはメーキャップによる「シワを目立たなくする」のみです。
化粧品に認められた56番目の効能効果に「乾燥による小じわを目立たなくする」がありますが、この効果は、事前に決められた基準以上の方法で効能評価試験をおこない、その効果が認められて初めて標榜できるため、試験を実施していない化粧品では標榜することができません。
また、あくまで「乾燥による」「小じわ」が「目立たなくなる」ということであり、「シワ」を改善するかのような標榜は一切不可となります。
つまり、基礎化粧品において「シワ」を表現することはできないということになります。


よって、

基礎化粧品の場合、「シミ・くすみ」については、条件を満たす場合にのみ、決められた範囲であれば不可ではありませんが、「シワ・たるみ」については標榜できないということになります。

尚、メーキャップ商品で、 “おおい隠す”“カバーする”という条件のもとであれば「シミ・たるみ・くすみ・しわ」は使用可能と考えられます。
 ただし、事実であること、効果が確実であるかのような表現でないことが前提となりますので、それなりのカバー力がないと使用できませんし、 またメーキャップ効果により完全に目立たなくする旨の表現は 過剰表現となり不可とされます。

しっかり色が着くファンデーション等のコピーとして、

「シミ・シワ・たるみ・くすみをしっかりカバー」

といった表現なのであれば、使用することができます。

どれも訴求力のある効果なだけにリスクも高いと言えますので、十分なご配慮の上で表現をする必要がありますね。

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薬事法広告研究所 代表 稲留万希子
(運営会社:DCアーキテクト株式会社)
http://www.89ji.com/

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイト
の企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに退職し、
中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。
その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない
事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、
漢方薬膳療術師、反射療法師、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を
取得し独立。
2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表に就任。
専ら、セミナー講師として活動。

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